【雰囲気が良くなる言葉】

ご家庭内でのコミュニケーションについて、最近、「すばらしいな!」と感じた事例を
2つご紹介いたします。

Aさんは、中2、小6のお子さんを持つお母さんです。コーチングを学ぶようになっ
て、気付いたそうです。
「私がふだん子どもたちにかけている言葉は否定形ばかりだ」と。例えば、「まだ起
きないの?」、「忘れ物してない?」、「ゲームばっかりダメだよ」、「なぜ片付
けないの?」、「宿題まだ終わってないでしょう」、「どこがわからないの?」など。

「否定形の言葉を使っていると、やる気が奪われていくんだって。これからは肯定形
の言葉だけ使うことにしようよ」と子どもたちにも提案して実践してみました。
「朝だね。起きよう!」、「持ち物OKだよね」、「そろそろ気分転換どう?」、「こ
こ片付けてもらえると嬉しいな」、「宿題どこまで進んだ?」、「どこまでならわか
る?」など。

言葉を変えると、家庭内の空気が変わってきました。ギスギス、ピリピリ、イライラ
した雰囲気がなくなり、子どもたちも明るく素直になったように感じられました。A
さんは、「私のイライラの原因は子どもたちじゃなかったんだ。自分の言葉だったん
だ」と気づいたそうです。

続いて、高1、小6のお子さんを持つBさんのお話です。Bさんは感謝の気持ちを増
やすと、集中力やモチベーションにも良い影響を与えることを知りました。そこで、
「1日10回は家族に『ありがとう』を言う」と決めて、タイミングを探しながら実
践しました。

例えば、食事の席で、「今日も一緒に食べてくれてありがとう」、「お醤油とってく
れてありがとう」、「全部食べたね。ありがとう」、何気ないことでも「洗濯物を出
しといてくれてありがとう」、「テレビ消してくれてありがとう」など。本当に素敵
な実践です。

よく考えたら、私たちは1日の中でどれだけ「ありがとう」を言っているでしょうか。
「そんなのやって当たり前」、「できて当たり前」と思うと、感謝したり、承認した
りすることはあまりありません。Bさんが実践を続けているうちに、お子さんたちも
自然と「ありがとう」を返すようになってきました。

Bさんはおっしゃいます。「子どもから素直に『ありがとう』と言われるのは本当に
嬉しいものですね。そうすると、自然と子どものできていないところよりも、できて
いることのほうを探すようになります。私も気分が良いですが、子どもたちも気分が
良いのでしょう。驚いたのは、『勉強しなさい』と言わなくても、最近は自発的にや
っているようなんです。他には何も変えていないので、やっぱり『ありがとう』の効
果だと思います」。

家庭に限らず、職場でもぜひ試してみたくなりますね。

2022.09.01
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投稿者

石川尚子

講師 石川尚子

パーソナルコーチを行う傍ら、「夢をかなえるコミュニケーション」「自発的な部下の育成」等をテーマとしたコーチング研修講師として活躍中。

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