コーチングを受けてくださっている方をクライアントさんとお呼びしています。
私の元には、20年以上もの長きにわたり毎週、対話を続けてくださっているクラ
イアントさんが数名いらっしゃいます。
日曜日の夜、あるいは月曜日の朝など決まった時間にリモートで対話をします。
お互いにとって、すっかり毎週のルーティンとなっています。
20年も続いているコーチングと言うと何か壮大な目標に向かって、ダイナミッ
ク、かつ緻密なコミュニケーションが行われていると思われる方もありますが、
実態は驚くほどシンプルです。
毎回の対話の中で行っていることは、主に、
①1週間の振り返り、②次の1週間
に取り組むことの明確化の2つです。長いお付き合いの方ほど、私はただの聴き
手に徹していることが多いように思います。と言うのは、私が質問する前に、ク
ライアントさんが自ら、「今週はこうだった。だから次はこうする」と話してく
ださるのです。
どんなに小さな出来事であっても、経験として客観視し、学びと次のアクション
に繋げる。このプロセスを繰り返すことで、「起きた出来事に対して、常に前に
向かう手を打つ」という思考の癖ができあがっていくのです。この週に一度の対
話は、思考のインフラ整備と言っても良いかもしれません。
先日、あるクライアントさんの会社で社員の不祥事が発覚し、大きなニュースと
なりました。一部の社員がやったことで本人に非は全くありませんが、「お客様
の信頼を失い、このまま仕事を続けられなくなるのではないか」と、当初は夜も
眠れないほど困惑されたそうです。
そんな状況の中、今週も対話の時間がやってきました。しかし、私と話す前には、
もう気持ちの整理をされていたようで、爽やかにこうおっしゃいました。
「こういう時こそ真価が問われると思うんです。冷静に対応して自分がコントロ
ールできることを誠実にやるだけです。
今回のことで、会社も膿を出し切ってもっと良い方向に向かうと思うと楽しみ
です」。
「逆境だ!」と思える状況でも、気持ちをすぐに切り替えられていて感動しまし
た。起きたことを否定し、他者を批判するのではなく、起きたことを踏まえて、
自分はどうするのか、どんな気持ちで向き合うのかに視点が向けられていました。
その真摯で建設的な思考回路に、逆に励まされるような思いでした。
こういう時に「振り返り、次を決める」というシンプルな思考習慣を続けること
の価値を教えられます。これからも私は、この尊い習慣の伴走者であり続けたいと
思います。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。