いかに才能があっても、知識があっても、熱意の乏しい人は、絵に描いた餅に等しいのです。食べられません。
反対に、少々知識が乏しく、才能に乏しい点があっても、一生懸命というか、強い熱意があれば、そこから次々とものが生まれてきます。
その人自身が生まなくても、その姿を見て、多くの人が援助します。「あの人は、熱心にやっているのだから、同じことであれば、あの人から買ってあげよう」、「あの人が気がついていないようだから、これをひとつ教えてあげよう」。
こういった思わぬ援助、目に見えない加勢というものが、自然に生まれてきます。それで、その人の才能の乏しきを補い、知識の乏しさを補って、その人をして、その仕事の責任者として、その仕事を進行せしめる、全うさせる、ということになるのです。
あたかも磁石が周囲の鉄粉を引きつけるように、熱心さは、周囲の人を引きつけ、周囲の情勢も大きく動かしていくと思うのです。
(昭和34年5月 高卒新入社員に対する講話)
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(江口克彦のコメント)
「熱意があれば」というのは、松下幸之助さん自身の体験的実感でしょうか。
学問もない、知識もない、おカネもない、健康もない、家族もいない、帰る故郷もない。
その「ないないづくしの状況」から出発した松下幸之助さんが、経営者として、それなりの成功を収めたのは、まさに、社員にも従業員にも、また、誰にも負けない「熱意があったからだ」ということでしょう。
しかし、それだけでなく、松下幸之助さんが、誠実に、まことに誠実に、そして、私心にとらわれない、素直な心で、経営に取り組んだからだと、私は思います。
松下幸之助さんは、第一ボタンが「熱意」であったとしても、加えて、「誠意」と「素直な心」があったからこそ、経営者として、大きく成功したのでしょう。
いわば、「①熱意、②誠意、③素直な心」は、成功するための「黄金のトライアングル」ということです。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。