松下幸之助さんが言う。経営を進める時に、経営者が心得ておかなければならないのは、「三本の編み棒」だ。3本の編み棒の1本目は、「普遍性」、2本目は、「時代性」、3本目は、国民性(地域性)。経営は、この3本の編み棒で、「会社」という作品が出来あがるものであると言う。
「普遍性」とは、いつ、いかなる時も「変えてはならないもの」、例えば、経営理念。なんのためにこの会社があるのか、いわば「目的」と、そして、経営なり仕事に取り組む「心構え」。これは変えてはいけない。絶対に変えてはいけない。「世のため人のため」、あるいは、「人類の幸せのため」などという「目的」は変えるべきではないし、変えてはならない。また、経営の仕方、仕事の取り組み方も、誠実、丁寧、配慮、思いやりなどの「心構え」も変えるべきではない。
この「普遍性」という編み棒を変えれば、経営は信用を失い、ついには、会社は衰退消滅する。経営にとって、「信用」は、人間に例えれば、「心臓」。心臓を失えば、死に至る。経営では、この1本目の編み棒である、「普遍性」を大事にし、いかなることがあろうと、貫き続ける「絶対的覚悟」が必要である。
2本目の「時代性」は、これは、むしろ積極的に、「変えなければならないもの」である。電気から半導体、そして、これからは、超高度医療技術、AIロボット技術、再生エネルギー技術、環境技術、遺伝子技術、新素材技術など、まさに技術は、指数関数的な進化を遂げる。その変化に即して、経営は、その業容を変えなければいけない。
3本目の「国民性(地域性)」は、当たり前のことだろう。右ハンドルの車の国に、左ハンドルの車は売れない。スプーンとホークの国に、お箸は、興味で多少売れるだけで、売れることはない。金色の好きな国民に、黒色の製品は売れない。温暖な地域を基準の服は、極寒の地域で売れるはずがない。それぞれの国民性なり地域性によって、「変えなければならないもの」である。
いま、日本の企業が低迷しているのは、松下さんの言う、三本の編み棒全部を変えようとしていることだ。「時代性」と「国民性(地域性)」は、「変えなければならない」が、「普遍性」だけは、断じて「変えてはならないもの」である。
経営者は、いま、松下幸之助さんの言う「三本の編み棒」のうち、「なにを変えてはならないか」、「なにを変えなければならないか」を分別する「英知」が求められている。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。