松下幸之助さんが徒手空拳から、生涯、7兆円企業まで成長発展せしめたのは、「お客様づくり」以上に、「ファンづくり」に、結果的に成功したからだろう。
「ファンづくり」は、指数関数的に、「ファン」が増えていく。例えば、1が2、2が4、4が8、8が16、16が32、32が64・・・というように、倍々に増えて、あっという間に、1万、2万になる。
それに比べれば、「お客様づくり」に成功しても、成長発展するが、その速度は、「ファンづくり」より、はるかに遅い。「お客様づくり」は、算数級数的に、1が2、2が3、3が4、4が5、5が6・・だからである。
では、「ファンづくり」は、どうしたらいいのか。言うまでもなく、「人間大事」の信念を腹の底に落とすことだ。常にそこから発せられる言動によって、「ファン」ができる。おのずと、相手が感動するからだ。感動し、「随喜の涙」を流すほどであれば、おのずと「ファンづくり」は、成功する。
松下幸之助さんの「ファンづくり」は、もちろん、「ファンづくり」を意図するものではなかったが、直接、見ていたから、こういうことで、多くの人たちは、「松下幸之助ファン」になっていくのだと感じることが多かった。いくつか、それを記してみたい。
まず、「お辞儀」。松下さんは、誰に対しても、両手を膝につけて、お辞儀していた。このお辞儀に感動しない者はいなかった。ある時、財界の大物が、「松下さんのお辞儀には、まいったね。松下さんほどであれば、ちょっと頭を下げるぐらいでいいのだけどね」と言われたことがあるが、「人間大事」の松下さんは、少し頭を下げるだけでは、自分を許せなかったのだろう。それは、地方紙の若い記者に対しても同様であった。皆感激し、取材内容より、松下のお辞儀に感動したと、私に手紙で告げる若い記者が多かった。誰に対しても、「松下幸之助のお辞儀」は変わらず、そのお辞儀が「ファン」をつくっていった。
二つ目は、「話を聞く姿勢」。話をする相手の目を見るだけでなく、身を乗り出して聞く。集中して聞いていることが分かる。身を乗り出し、集中して聞いてくれる松下さんに感動しない者はなかった。多くの「ファン」が、それで次々に、倍々に出来て言った。
まだまだいくつか、結果としての「松下幸之助のファンづくり」はあるが、経営、商売を成長発展させたいのなら、「お客様づくり」もさることながら、「ファンづくり」をしなければならないということである。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。