【ニュートラルであること】

「予測不能な時代」と言われて久しいですが、この言葉をますます身近に感じるようになり
ました。現在も、災害級の豪雪で大変な想いをされている方も多いことと思います。悪天
候による飛行機の欠航も、以前から折々ありましたが、今年は「え?今週もまた?!」と
いう頻度で起きます。大混雑の空港内で、声を荒げながら対応しようとしている人を見る
と、さらに気分が滅入ります。

先日は、乗っていたタクシーが後ろから追突されるという体験をしました。人生初の出来
事でした。大きな衝突事故ではなく、凍った路面で止まりきれなかった後続車の一部が軽
く接触したくらいの事故で、怪我などはありませんでした。

「予測不能な時代」にこじつけるほどの体験ではありませんが、私にはまったく思いがけ
ないことで、1時間以上も予定が狂いました。
両方の運転手さんにとっても、もちろん想定外の出来事だったはずです。

この時、大変印象的だったのが、そのお二人の対応でした。タクシーの運転手さんにとっ
ては、こうした場合のマニュアルもあるのだとは思いますが、非常に冷静で、真っ先に乗
客である私の体調を確認してくださいました。
深刻でないことを確認してから、追突した方の怪我の具合を確認。こちらも特に大事ない
ことを確認して、110番通報と会社への連絡。
この後も、私に対して、お詫びや気遣う声かけをしてくださっていました。

追突してしまった方も、慌てることも他責にすることもなく、事故処理に向けての対話を
冷静にされていました。そのあまりに整然とした対応に、「こういうことってしょっちゅ
う体験されているのでしょうか?」と思わず質問してしまったくらいです。「めったにな
いことで私は初めてです」とタクシーの運転手さんはおっしゃっていました。

今回は、幸い、大事故ではなかったので、動じることなく対応されていたのかもしれませ
んが、いつ何が起きるかわからないことをしみじみ痛感しました。また、冷静かつ建設的
に対応する姿勢の尊さを感じました。

コーチは常に「ニュートラルであること」が求められます。ニュートラルとは、中立的で
フラットな精神状態のことを言います。意図通りの反応や結果が得られなくても、相手や
自分を責めることなく、ゴールに向かって、建設的に関わり続ける姿勢です。思いがけな
い出来事に遭遇しても、ニュートラルな人に出会うと、こちらも心が落ち着きます。「予
測不能な時代」だからこそ、いっそうニュートラルであることを大切にしたいこの頃です。

2025.03.01
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投稿者

石川尚子

講師 石川尚子

パーソナルコーチを行う傍ら、「夢をかなえるコミュニケーション」「自発的な部下の育成」等をテーマとしたコーチング研修講師として活躍中。

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