今年、3年ぶりに、オランダに行ってきました。コロナ禍を経て、オランダの社会や教育
現場はどう変わったのだろう?と、とても興味がありました。実際に行ってみて意外だっ
たのは、「何事もなかった」かのような光景があったことでした。もちろん、何かしらの
影響はあったと思います。しかし、「コロナ禍だったからこうなった」という話題はあま
り出ず、これまで同様、「良いと思ったことはすぐに改善して採り入れる」というオラン
ダの姿勢には何の変化もありませんでした。
そして、「コロナ禍だったからこういう問題が起きた」といった切り口から振り返るので
はなく、「コロナ禍だからこういうこともできた」という視点で捉えられていることもオ
ランダらしいなと感じました。常に解決思考で物事を捉える気質が、オランダの好きなと
ころの一つです。コミュニケーションレベルではなく、生き方のレベルで、コーチング文
化が定着しているように感じます。
こうした気質は、文化や国民性によるところが大きいと思いますが、私はやはり、教育か
ら生まれるように思えてなりません。「自分はどうありたいのか」といった、自己の内面
を探究する関わりが小学校の頃から行われています。外側の知識や情報を吸収することも
もちろん大切ですが、まず、「自分はどうありたいのか」、「どうしたいのか」を考える
ところから教育がスタートします。
目指すゴールやビジョンがあって、そこに向かって学習を進めていくのです。その目指す
ものがあると、自分の外側で何が起きてもあまり振り回されなくなります。外側の環境変
化に応じて、今、自分がなすべきことを考え、対応するだけです。思い通りにならない環境
を嘆くこともありませんし、他者のせいにして批判することもありません。
「自分はどうしたいのか」を考え、重視しようとすることは、自己中心的になることとは
違います。「自分がこうしたい」と思う時、必ず、外部環境や他者との軋轢に直面します。
その時に、ただの「ジコチュー」でいては、決してうまくいきません。制限ある外部環境
と調和し、他者と折衝、協力していく力が求められます。オランダの学校では、このよう
な「生きる力」を育むことに重きが置かれていると感じます。
今や、何でもAIが情報提供してくれる時代だからこそ、「自分はどうありたいのか」、
「自分はどうしたいのか」を持っておくことが大切なのではないでしょうか。自分の内側
に問いかけ、答えを探していくことが、ますます求められる時代なのだと思います。そう
いう意味でも、「コーチングをもっと日本に根付かせたい!」とモチベーションがさらに
高まったオランダ視察となりました。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。