最近、ご縁をいただいている企業様では、定期的に「我が社の経営理念」について、社員同士が対話する機会を設けていらっしゃいます。その中で、「この会社に入ったきっかけや動機」について、各々が発表し合う時間があります。
私のような外部の者が聴いていても、各々の人となりや背景が感じとれ、自然と親近感が湧いてくるテーマです。各自の入社動機を職場であらためて話すようなことはあまりないかもしれませんが、わずか1分ずつでも話を聴き合うことで、各々の距離が近づき、一体感が生まれるのを感じます。
入社動機は人それぞれですが、最初から、高い志や崇高な理念を持って入社してきた人ばかりではありません。「家から近かったので」、「お給料が他より良かったので」、「先輩にすすめられたので」、案外そんなことが多いものです。しかし、「今では、入って良かったと思っています」、「以前よりも良い会社になったと思います」と言う方も多く、入社動機は何であれ、そんな気持ちで社会人生活を送られていることはなんと幸せなことだろ
うと感じ入ります。
このような方もいらっしゃいました。「最初は、別の会社で働いていました。仕事で、この会社に出入りするうちに、『ここは良い雰囲気だな。良い会社だな』と思って転職してきました」。本当にすばらしいことだと思います。そのように感じさせる会社が伸びていかないわけがありません。現に、様々な困難を乗り越えて、今も着々と成長し続けていらっしゃいます。
「入って良かった」と社員が思う会社とは、いったいどのような会社なのでしょうか。もうすっかり言い古された感もあって恐縮ですが、やはり、「人を大切にする会社」ではないかと、この企業様を見ていて思い至ります。
何のために我が社はあるのか(理念)を大切にし、社員一人ひとりの成長を心から願う会社、人への投資を惜しまない会社という印象を強く受けます。
こうした社内への理念浸透とコーチング文化醸成に力を注がれているご担当役員の方のお言葉には心から感動します。「物に投資するよりも人に投資するのが一番効率が良いと思います。物は劣化しますが、人は進化します」。
深く心に響く言葉です。
このような企業がもっと増えていくと、日本人の幸福度ももっと上がるのではないか、働き方改革(働きがい改革と言ったほうが良いと思うのですが)も加速するのではないか、結果として、生産性もさらに向上するのではなかと思います。人を尊重し、人の成長を心から支援するコミュニケーションがより多くの組織で当たり前になるように、私も引き続きコーチングを伝え続けていきます。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。