以前のことだから、アメリカの、なんの雑誌だったか覚えていない。しかし、次のような漫画があったことは、今でも覚えている。
ある新婚夫婦が、家庭で感謝祭のために、ローストターキーをつくっていた。夫が見ていると、妻が七面鳥のお尻の部分をバッサリ切り落として、オーブンに入れている。夫は不思議で仕方ない。丸ごと入れればいいのに、なぜ、そんなもったいないことをするのかと思った。そこで、妻に聞くと、「お母さんから教えてもらったの」と言う。しかし、夫の不思議な思いは消えない。そこで義母に電話をした。「ハッピー・サンクスギビング」と挨拶してから、「つかぬことを伺いますが・・」と、その理由を尋ねると、「あぁ、それは、おばあさんから教わったの」と。そこで、おばあさんに電話をした。「なぜ、代々ローストターキーのお尻を切り落とすのですか」と問い合わせた。
すると、それを聞いたおばあさんが驚いた声で、「なにしてるのよ。馬鹿だねえ。それは私のオーブンが小さかったからよ。いま、あなたのところのオーブンは大きいのだから、丸ごと入るでしょう」。そう言った内容だった。もちろん、作り話だろうが、案外、この漫画の作者の身近なところでの実話かもしれないと思う。
ところで、松下幸之助さんから、次のような話をされたことがあった。
「きみ、仕事をしてるわな。毎日、会社に行くやろ。けど、毎日、同じ仕事の繰り返しでは、あかんよ。早い話、毎日、昨日はどうであったか。今日は、昨日より進んだ姿で仕事をしているか。そういうことを常に考えんといかんな。日に新た、と言うやろ。そうでないと、きみも成長せんし、会社も発展せんな。こういうやり方が昔からのやり方だからとか、先輩がやっていたからとか、そういうことではダメやな。毎日、毎日、変化しているというか、いま、やっていることが、これでいいのか、こういう考えでいいのか、常に考えながら仕事をせんといかん。とにかく、日に新たやね。旧態依然ということであっては、あかんと言うことや」。
ローストターキーのような仕事の仕方、経営の仕方をするな、と言うことであろう。
毎日、出勤する。しかし、昨日と、どこか違う。昨日より、どこか目新しくなっている。どこかよくなっている、どこか工夫され、進歩している。そういう経営、そういう仕事をすべきではないか。
「日に新た、日に日に新た、又、日に新た」の経営が大事ということである。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。