企業研修も、オンラインから対面研修ヘと、しだいに戻りつつあるこの頃です。現場に行
って、リアルに皆さんと接していると、やはり、画面越しでは感じ取れない空気感があり
ます。
私が研修でうかがう先は、業種も職種もさまざまです。まったく違う業界の様々な立場の
皆さんとご一緒します。階層別の研修ばかりではなく、同じ職場の新入社員から管理職ま
でが一緒に受けていただく研修もあります。
上司と一緒に研修を受けるなんて、なんだか萎縮してしまいそうですが、案外そうでもな
い職場も多いものです。
業種、職種は違っても「ああ、良い雰囲気だなぁ。良いチームだなぁ」と感じる職場には
何か共通点があるように感じます。大きく二つあります。
一つは「笑いがあること」。折々に行うディスカッションの中で、お互いの話を笑顔で聴
き合い、楽しそうに笑っていらっしゃる様子を見ていると、こちらも気分が和みます。当
たり前のことですが、笑顔で自分の話を聴いてもらえるだけで、話し手はどんどん話しや
すくなります。厳しい局面であっても、冗談を言い合って笑い合うことで、自ずと前向き
な議論に向かいます。決して、難しいテクニックがあるわけではありません。笑顔で話す、
聴くだけで、会議やミーティングの場は活性化します。
そして、二つ目は「意見の違いもおもしろがって受けとめられること」です。自分と違う
意見に対しても、「あ!それ、おもしろいですね!」と笑い合っていらっしゃいます。意
見が違うと、そこから対立が生まれがちです。
どちらが正しい、間違っているといった議論になりがちです。ところが、「違いがあるか
らこそ、おもしろいよね!」という発想に立って、コミュニケーションがとれているチー
ムは、どんどんものが言いやすくなります。
新人だからこそ、キャリアが浅いからこそ言えるアイディアがどんどん出てきます。
環境や状況の変化が激しく、何が正解かすぐにはわかりにくい昨今、皆が同じような考え
方しかできないチームはかえって危険です。
「なるほど、そういう見方もあるのか」と柔軟に認め合い、「まずは、〇〇さんのアイデ
ィアから試してみようよ」と軽やかにチャレンジするチームが、どんどん結果を出してい
るように思います。
こんな組織が増えたら、日本の職場で働く人の幸福度ももっと上がる気がします。笑いが
あること、違う意見をおもしろがって認め合えること。大事にしたいです。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。