「相手のできていないところではなく、良いところを見る大切さもわかっています。逆効
果だとわかっていても、つい否定的なことを言ってしまいます。わかっているのにできな
いのは、私の自己基盤が整っていないからだと思うのです。自己基盤を整えるにはどうし
たらいいでしょうか?」
このようなご質問を折々にいただきます。コーチングをある程度、学んだ方は、うまくい
かないことを相手のせいにするのではなく、自分側の課題だと考えるようになります。
とてもすばらしいあり方だと思います。
自分の課題の一つとして、自己基盤強化は重要なテーマです。自己基盤とは、常に建設的
に物事を捉え、適切に対処できる基礎体力のようなものです。心にもゆとりがあり、身体
も健康であれば、自ずと物事を肯定的に捉えることができるようになります。結果として、
肯定的に人と関わることができ、効果的なコーチングが行えます。そこで、コーチは、ス
キルのトレーニングと共に、自己基盤を整えることに力を注ぎます。
自己基盤を整えるための方法はいろいろありますが、特におすすめなのが、「未完了の完
了」です。未完了とは、「やろうと思っていてやっていないこと」です。これを毎日1つ
ずつ完了していくこと(1日1完了)は、ぜひ試してみていただきたいことの一つです。
どんな些細なことでも良いので、「今日はこれを完了する」と自分で決めます。それを完
了するだけです。資源ゴミを出す、歯医者の予約を入れる、ストレッチをする、読もうと
思って買っていた本を読む、行こうと思っていたお店に行く、など、どんなことでもかま
いません。やろうと思いながら、そのままにしていたことを一つずつ完了していきます。
「自分で決めたことを自分で完了する行為」は、「自分との約束を守る行為」です。これ
を積み重ねていくと、「自分で自分をコントロールできている」という感覚が増します。
これが自己肯定感につながります。心にゆとりが生まれ、否定的な感情が湧きにくくなり
ます。頭ではわかっているのにできなかったことも、自分でコントロールできるようにな
っていきます。
初めは、「こんなことで?」と思われるかもしれません。ところが、案外、これが侮れま
せん。未完了を完了することで、「緊急で重要なこと」が減っていきます。日頃、健康管
理をしておくことで、身体を壊しにくくなるのと同じです。「緊急で重要なこと」が減る
と、さらに心にゆとりが生まれます。ぜひ、おすすめいたします。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。