【成果につながる思考】

あっという間に北京オリンピックも閉幕してしまいましたが、今回も多くの感動や勇気を
もらいました。特に、冬季オリンピックは、北海道に所縁がある選手が多いこともあって、
つい感情移入しながら観戦してしまいます。

ここ数年、チームスポーツの世界にも、ずいぶんコーチングの空気感が浸透してきたなと
も感じました。日本カーリング史上初の銀メダルを獲得したロコ・ソラーレのチームワー
クは多くの注目を集めましたが、私はとりわけ、吉田知那美選手のコメントに大いに感銘
を受けました。
「私たちの最大のアドバンテージは、他のどのチームよりもたくさんのミスと劣勢を経験
してきたこと」。この言葉が、試合直後のインタビューで、さらっと出てくるあり方にし
びれます。

何が正解かがすぐにはわからない、先が見えにくいと言われるこの時代において、これは
必須の思考だと思います。
「ミスしたこと(終わってしまったこと)は変えられない。しかし、どんな体験にも意味
がある。どんな体験もアドバンテージとして活かすのだ!」と考えられたら、怖いものは
なくなるでしょう。
「これまで、こんなにミスをしてきたチームだから決勝では勝てるわけがない」と考える
のか、「むしろ、優位である」と考えるのかで、自ずとパフォーマンスは変わってきます。

藤澤五月選手の「(前日の敗戦後、)チームみんなで、今日の試合をどうしたいのか、し
っかり話し合って試合に入れたことがすごく良かった」という言葉にも、コーチングの省
察のセンスを感じました。前日の敗戦を悔やんだり、誰かの責任にして責めたりするので
はなく、建設的に次に活かす話し合いをする。
そして、気持ちを整えて次に臨む。これが短期決戦の中で冷静に行われていたことに、
ロコ・ソラーレのチーム力を感じずにはいられません。

こうした習慣が、多くの組織で当たり前に行われたら、もっと成果をあげられる組織が増
えるように思います。どんなにすばらしい能力や知識を持っていたとしても、強みに焦点
をあてる姿勢がなければ活かしきれません。どんな結果からも次に活かせる資源を見つけ
る姿勢でふり返ることができたら、成果につながる可能性は大いに増します。

事実を効果的に解釈し、体験から学ぶ力がこれからますます必要なのではないかと思いま
す。カーリングブームと共に、このようなコーチング思考やコミュニケーションがもっと
流行ってほしいなと思うこの頃です。

2022.03.01
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投稿者

石川尚子

講師 石川尚子

パーソナルコーチを行う傍ら、「夢をかなえるコミュニケーション」「自発的な部下の育成」等をテーマとしたコーチング研修講師として活躍中。

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