コーチとして活動を始めて間もない頃、プロコーチの草分け的な存在であるコーチから、5分間だけコーチングを受ける機会に恵まれました。「コーチ業をもっと拡大するには」といったテーマで話を聴いてもらいました。
その中で、「私にはまだ、あなたのような実績もスキルもないので難しい」というような言葉が私の口から出ました。すると、コーチから、「それを今、ここで言ったところでどうなるのでしょうか?」という質問が返ってきました。
わずか5分間のコーチングでしたが、私の中では大きなシフトが起きました。「確かに、何年も前からコーチをしている人と自分に差があるのは当然のことだ。こんなことを言っていても仕方がないな」と心から思えました。
「こうだから難しい」という話をしている時間がとてももったいないと感じました。
例えば、「今の私がチャレンジするとしたら何ができるのか?」、「どうすれば、もっと目指す方向に近づけるのか?」、「実績とスキルが必要だと思うのなら、どうやって積み重ねていくのか?」などが、考えて価値あることではないだろうかと気づきました。それ以来、できないことや足りないものに焦点をあてて悩んでいる時には、この質問を自分に問いかけるようになりました。「それを言ってどうなる?」。
最近、この質問を投げかけたくなるような言葉にたて続けに出会いました。
「コロナ禍でリモートワークになってしまって仕事がやりにくいです」
「行政の援助が得られないので、なかなか厳しいです」
「人手とお金がないので、思うように進められません」
「この先またどんな状況になるのか予測できないので、何も始められません」
確かに、そのような現実はあります。そう感じてしまう時があってもいいとは思います。
しかし、それを言い続けていても、何も変わりません。現実は現実として受けとめ、自分ではコントロールできないことはいったん脇に置き、今、自分ができることに力を尽くしていく思考が必要ではないでしょうか。
「そうは言っても、現実的に◯◯がないのだから無理ですよ!」と言われたりもします。
◯◯には、お金、時間、人材、経験など、様々なものが挙げられます。この「◯◯がないからできない」という思考も、そろそろ撲滅していきたいなと感じます。
「本当に◯◯がないとできないのか?」、「◯◯がなくてもできる方法は何だろう?」
そんな解決思考の風土を作っていきたいです。
答えは一つではありません。コーチングの思考をもっと広げていくことで、多くの人の幸福度がもっと上がるように思うこの頃です。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。