数値目標を達成することは営業職においては必須のことかと思います。また、その数値目
標とは一般的には、契約や受注の件数、売上金額であることが多いかと思います。
先日、ある生命保険会社様の営業所で、大変興味深いお話をうかがいました。
「うちでは、ご契約数や金額を目標にすることをやめました。もちろん、各々が目指して
いる目標はあると思いますが、件数や金額で評価するのではなく、お客様とお会いした数
で評価するようにしたんです。直接ご契約につながる有効面談でなくても良いのです。ご
家族にお変わりがないかを確認しに行ったカレンダーを配りに行ったなど、どんな理由
でも良いのです。
会いに行くだけで評価ポイントが増えるというしくみです。おもしろいのは、これをやり
始めてから、営業所全体で以前よりもご契約数も金額も増えたってことなんです。まあ、
お会いすると、『最近、息子が結婚しまして』といったお話が聞けたりして、思いがけず、
ご契約につながったりするものなんです。たくさんの人に会えば、それだけご契約につな
がる確率は増えるわけで、そんなことは以前から皆わかっていることだったんですが、案
外、やれていなかったんですね」
確かにおもしろいお話です。結果を目標にするのではなく、結果に関わらず、結果につな
がる行動を目標にした点が機能したというお話です。結果(契約数や金額)は、お客様の
判断に委ねるしかないところがありますが、結果につながる行動は自分しだいです。結果
は脇に置いて、ただお客様に会いに行くだけでいいんだと思ってやっていくと、自ずと結
果がついてくるのだと実感しました。評価ポイントが数字よりも「お客様に会いに行くこ
と」に変わったため、皆がそこに重きを置くようになったことは大きいと思います。
そこでふと感じたことがあります。「時間がないのでコーチングがなかなかできません」
というお声を多くの職場でお聞きします。何をする時間が一番優先順位が高いのかとたず
ねると、目の前の業務や数字を上げる活動だとおっしゃいます。
これ、もしかして、「コーチングを部下とどれだけやったか」を評価することにしたら、
コーチングに優先順位を置く人が増えて、かえって、業務効率化も数値目標も達成しやす
くなるのではないか。勝手に思ったことなのですが、今後、そこに着目する企業様も増え
ていくのではないかと密かに確信しています。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。