現在の日本人は、日本人たることの自覚を忘れていると思うんです。日本人がどこの国民であるか、分からないような教育はなくして、日本人は日本人たることを自覚しないといかん。このことから、教育していかないといかんと思うんです。
「あんたは、日本人ですよ。分かってますか。日本は、こういう国ですよ。その国の人間ですよ。その日本人たることを自覚しないとあかんですよ」ということから、教育を始めんといかんと思います。
三歳の童子(こども)に両親が、「あんたは、日本人として生まれたんですよ。日本はこういう国で、だから、責任を自覚しないといかん。誇りを持たんといかん。喜びを持たんといかん」と、そういう意味の教育をしているかどうか。してないでしょう。
学校へ行ったら、「あんたは日本人ですよ。日本の国を考え、国歌を歌いましょう。国旗を掲げましょう」と教えることも、日本人たる自覚を与えるためには、極めて必要なことやと思うんです。が、それをやっておらない。
だから、日本人であるか、どこの国籍であるか、分からん精神状態になっているんだと思うんです。
ですから、私は、まずお互い日本人は、日本人たることを自覚しようやないか、それから、ものを考えようやないか、それから、商売をやろうやないか、と、こういう考えをもたないといかんと思うんです。
(「21世紀をどう迎えるか」昭和53年8月30日 関西経済同友会国民意識委員会懇談会)
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(江口克彦のコメント)
どうも今なお、日本人としての自覚を持たず、まるで、外国人のように、日本を、非難する日本人がいるのは、不思議というより、奇怪な感じがします。
いや、元を辿れば、第三国人だという人もいますが、日本国籍を取った以上、それは、日本人となる覚悟の上でしょう。ならば、日本人としての自覚を持つべきです。
その自覚なくして、「日本」を罵倒する。ならば、日本国籍を得なければいいし、また、もともと日本人なら、それほど、日本が嫌いなら、外国に移住し、その国の国籍を得れば済むこと。現行憲法もその第22条で認めています。
そういう人たちが騒々しく喚(わめ)くことによって、相当数の国民までが、そうかいな、日本はそんな悪い国かと思うのは、いかがなものでしょうか。
また、日本の自然発生的民主主義を根本から否定し、フランス革命以降に人工的につくられた、外国製の民主主義を奉じ、国民に押し付けるのは、まことに迷惑千万な話。
「日本人が日本人としての自覚を取り戻し、日本の歴史、伝統を再認識して、伝統の精神を今日の民主主義に即したかたちで生かしていくことが、今なによりも大切になってきていると言えましょう」(『日本と日本人について』)と、松下幸之助さんが述べているのは、けだし、当然のことと思います。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。