コーチング研修をしていると、「最近の若手社員は」という言葉が出てきて、「何を考え
ているかわからない」、「コミュニケーションがとりにくい」、「自分から発言しようと
しない」などの意見があがることがあります。
しだいに、若手の扱いにくいところばかりが芋づる式にあがり始める展開となります。
逆に、若手の研修では、「うちの上司は」という話になり、「話を聴こうとしない」、
「できないことばかり指摘される」、「原因追及ばかりされる」といった話が出てきます。
やはり、「問題点」を言い合う展開になっていきます。
久しぶりに集まった研修の場で、愚痴を言い合ってリフレッシュすることも、もちろん効
果がないとは言いません。しかし、「それを言い続けて何か変わるのでしょうか?」とい
うことに、時間を使うのはとてももったいないと感じます。
「若手がこうだから」、「上司がこうだから」と「相手」のことを言っていても何も変わり
ません。各々の課題解決にはまったく向かいません。そのことに気づいた皆さんから出て
くる言葉は違います。
「若手が話しやすい雰囲気を作るために、もっと若手の話を聴く時間を作りましょうよ」、
「『今、お時間いいですか?』と言われたら、『少しならいいですよ』などという言い方で
はなくて、まず『どうぞ!どうぞ!』と気持ちよく言いましょうよ」、「表情豊かにニコ
ニコ対応しましょうよ」といった具体的な提案が飛び交います。
「問題点」ではなく、「解決策」を話す場です。「相手が悪い」ではなく、「自分はこう
する」を伝え合う場です。こういう場の空気は、非常に心地よく、どんどんエネルギーが
湧いてきます。そんな職場にいると、自ずとモチベーションも生産性も上がっていくよう
に思います。ベクトルを相手に向けるのではなく、自分に向けて考えてみることが建設的
な思考の第一歩です。ですから、コーチングでは、「あなたは何をしますか?」、「あな
が今できることは何ですか?」と質問していきます。
「問題点」を言い合うのではなく、「うちの若手はここがすごい!」、「うちの上司はこ
んなにすばらしいですよ!」と言い合えたら、職場のほとんどの課題は解決していくのでは
ないかと感じます。課題解決できたから、お互いの「良いところ」が言い合えるのではな
く、「良いところ」に目を向け合っているからこそ、課題解決が図られていくと考えます。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。