今年も1週間ほど、オランダへ行ってきました。今回で7回目です。教育のベースにコー
チングがあるオランダは、私にとって非常に興味深く学ぶことがたくさんあります。
「何度も行かれているのでもう十分ではないですか?」と言われるのですが、オランダの
教育現場には「良いと思ったことはすぐに採り入れる」という風土があり、折々にアップ
デートされます。それを知りたいのとコーチングの本質に毎回立ち返らせてもらえること
から、つい定期的に通ってしまいます。
今回は、学校の先生がたの研修を視察したり、学校の運営についてのお話をうかがったりし
ました。その中で、特に印象的だったことは、先生や子どもたちをサポートする役割がたく
さんあることです。「ティーチャーズコーチ」と言われる先生のコーチングをするコーチが
存在することは以前から聞いていましたが、今回、訪問した学校では、先生の授業を見て
回ってフィードバックする役割の先生がいて、1年ずつ交代でその役割を担当していくとい
うお話をうかがいました。
また、子どものサポートを非常に手厚く行っている学校もあり、家庭環境に恵まれず心を
病んでいる子どもに関わる先生や留年した子どもをコーチングするコーチ、秀才児をフォ
ローするコーディネーター(ギフティッドコーディネーター)などの人たちがいるとのこ
とでした。さらに私が感銘を受けたことは、これらの役割は「やりたい」と言う人がやっ
ているということです。
とかく、役割というのは「与えられるもの」との印象がありますが、オランダでは、「や
りたい人がやる」という言葉をよく耳にします。
「本人がやりたいと言っても、やはり、資質が必要では?」というような質問をする
と、「やりたい人がやるのが一番パフォーマンスが高い」といった答えが返ってきます。
確かにおっしゃる通りです。
オランダでは、初等教育から、「自分を知る教育」に重きを置いています。自分はどんな
価値観を持っているのか、どんな強みがありどんなことが得意なのか、自分は何をやりた
いのかを小学生から考える体験を積み重ねます。そのため、他者から言われてやるのでは
なく、自ら手を挙げてやる人が育っているのだと感じます。
「自分で選んで自分で決めていい」と理解できている人にとって、役割は「与えられるも
の」ではなく、「自ら引き受けるもの」なのです。Have toではなく、want toでやっ
ている人は、自分事として責任も自然と引き受けられます。「自ら引き受ける」という立
場に立った時に、自ずと自律的な考え方になれるわけです。
よく考えてみたら、そんな「当たり前のこと」に気づかされ、深く考えさせられるオランダ
での体験は非常に良い刺激となっています。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。