新しい年が始まりました。ご多用の中、いつもお目通しくださり、
まことにありがとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
あらためて、「時間」と「変化」のスピードを感じる年始です。私のクライアン
トさんの中には、ITコンサルタントやIT企業のマネジャーの方もいらっしゃるの
ですが、とりわけ、AIの進化についてのお話を聴くたびに、そのスピードと影響
力に驚かされます。
コーチングの分野でもAIはすでに活用されています。私自身もAIコーチを体験し
てみましたが、否定せずに受け止める反応や、「なるほど」と唸ってしまう質問
の切り口など、人間のコーチと遜色ないものを感じました。ジャッジされる不安
がないため、「上司よりもAIのほうが相談しやすい」というお声があるのも、う
なずけます。
一方で、あらためて考えさせられることもあります。それは、「言葉をそのまま
受け取るだけではコーチングはうまくいかない」ということです。
以前、ある管理職の方が、コーチングの中で、「コミュニケーションがとれない
部下がいる」という課題について話されました。その方は、「別に嫌われてもい
いんです。しょせん、上司とはそういう存在ですし。私と話したくないなら、他
の人に任せても良いわけですし」とおっしゃいました。
この言葉をそのまま受け取り、解決策を探る質問をすることもできたでしょう。
しかし、私にはその言葉の奥に、「本当は嫌われたくない、部下ともっと話した
い」という声が聞こえた気がしました。
そこで、「〇〇さんはもっと部下と話したいと思っていらっしゃるように感じま
したよ」と率直に伝えました。しばらくの沈黙の後、その方は、「私が歩み寄っ
ていないから、相手も歩み寄れないんでしょうね」と語られました。そこから、
部下との関係性が少しずつ変わっていきました。
人は、常に本音を言語化できているわけではありません。本人さえ気づいていな
い言葉の裏にある感情や声のトーン、間、表情といったノンバーバルな情報を感じ
取ることがコーチの役割でもあります。
AIは今後さらに進化し、こうした領域にも踏み込んでいくのだろうと想像します。
それでも、生身の人と人が向き合う中で生まれる微妙な感情の揺れを、人として
共有し合っていけたらと思います。
「もう笑っちゃいましたよ!」と相手が言った時に、おかしくて笑ったのか、悲
しさをごまかしているのか、もっと他の感情があるのか、そこに想いを馳せられ
るコーチでありたいと感じます。人間コーチとAIコーチ、どちらが勝つか負ける
かではなく、それこそ、特性を活かして共存していけたらと思うこの頃です。
松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。