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第10回 松下幸之助の経営心話 【経営失敗のときこそ、経営者としての適・不適が問われている】

ことやね。謙虚にその失敗の姿を検討することが、まず大事でしょう。


そうすれば、失敗の原因が(事業経営において、失敗したら)、失敗したということをはっきり素直に認識する、程度つかめるのではないかと思うんです。その原因に対して、しからば、どういうようあるに立て直していくかということが分かってくるだろうと。


それに勇気をもって、対処していけばいいということになると考えられます。そういうふうに素直に反省する、その原因をつかむということは、実際には難しい。過去の


経験から多くの人を知っているが、そのうち実際に、つまり失敗したときに、その原因を素直に反省して、適切につかんだという人はきわめて少ない。

たいていは、いろいろ反省はしてみるけれど、結果は、自分には何も間違いはない、自分には落ち度はない、世間が誤っている、不景気だたったとか、外部にその原因があるように判断する人が多い。


(しかし、)どういう場合でも、失敗の原因は、自分にあるといえるのではないかと思う。それに気づいたら、対処の道が(おのずと)出てくるだろう。


失敗なり、事業がうまくいかない原因は、99%は(経営者である)自分自身にあるように思う。


(昭和39年11月、アジア生産性機構コンサルタント養成講座懇談会)


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(江口克彦のコメント)


経営に失敗はつきものだと思います。しかし、大事なことは、その失敗を失敗として放置するのではなく、なぜ失敗したのか、窮地に陥ったのか、素直な心で振り返り、考え抜くことでしょう。


そのように徹底的に反省して、なにが問題で、なにが拙(まず)かったのかをハッキリと把握するとき、次のとき、どのような対応をしたらいいのか、どのような策を講じたら、成功するのか、瞬時に適切な対策を立てて、不測の事態の中でも悠々と乗り越えていくことができるでしょう。


「過ちて改めざる 是を過ちという」という言葉が、『論語』(衛霊公)にあることはご存知でしょう。同じような過ちを繰り返すのは、徹底的に反省しないから、あるいは、失敗に目をつむるから、あるいは、失敗したことを振り返る勇気がないからでしょう。


反省は、また、実行がともなわなければなりません。反省するのはよしとして、「反省のしっ放し」は、次の成功に絶対につながりません。「真の反省=反省+実践」です。実践なき反省は、反省とは言えません。


さらに、失敗を反省するのはいいとして、その原因を、他人のせいにする、環境変化のせいにする、まして社員のせいにするならば、「失敗を成功にすること」は不可能、絶望的と言わざるを得ないでしょう。


経営失敗で、「我一人(われ いちにん)の責任なり」と自覚し、なにを反省し、その後、どう立て直し策を考え実行しようとしているのか、いま、経営者としての適・不適が問われていると思います。

2024.05.15
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投稿者

江口 克彦

講師 江口 克彦

松下幸之助のもとで23年間、直接指導を受ける。 現在、経営者塾を主宰して、松下幸之助の経営哲学の講義を続けている。札幌の「松翁会」、名古屋の「壷中の会」など全国数ヶ所で行われている。            内閣府 沖縄新世代経営者塾 塾長、憲法円卓会議 座長、内閣府 イノベーション25戦略会議 委員、内閣総理大臣諮問機関経済審議会 特別委員、松下電器産業株式会社 理事等を歴任。

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