部下の育て方6カ条

仕事の内容を、ある程度、責任者が知って、部下に任せることが大事。自分が知らないことを、部下にさせておいて、それが出来ないと激怒する責任者がいる。途中で、部下にアドバイスも出来ず、あれよあれよといううちに部下は失敗する。それを繰り返していれば、部下は育たないばかりか、やがて反感を持たれ、ついには退職してしまう。

松下幸之助さんが、よく、「従業員に仕事を任せる時は、君自身が、その仕事な内容を知っていないといかんよ。知らずに任せると、その従業員が間違った方向に進んでいても、気ィつかんし、君が上司として軽蔑されるだけや。それだけでなく、部下は育たんで」と時折、言っていた。まず、仕事の内容を責任者が知っているということが大事だということ。

人を育てる2つ目は、「任せる」、すなわち、「権限委譲」。やらせなければ、人は育たない。松下さんは、「熱意があれば、能力は60点でいい」と、どんどん部下に仕事をやらせた。

3つ目は、社員や部下に、ものを尋ねること。松下の言う、「衆知を集めよ」ということである。それによって、社員や部下は、間違いなく、育つ。社長や上司が雑談調で、「このことについて、キミは、どう思うか」とか、「仕事で気になるところはないか」など聞かれれば、その時は、答えられなくても、次は、なんとか答えてやろうと、部下が思うのは当然のこと。社員や部下は、勉強し出す。自己啓発とは、このことだろう。こうして、部下の衆知を集めれば、部下は育っていく。

4つ目は、責任者が、当たり前のことを当たり前にやること。それができないようでは、部下も、人間として成長しない。責任者が、当たり前のことをしてみせ、やらせることによって、部下は育つ。

5つ目は、社員や部下に感謝の思いを持つこと。責任者から感謝されて、やる気をなくす部下はいない。もっと頑張ろうと心決めする。そして、努力するから、人が育つ。松下幸之助さんは、最期まで感謝の心を忘れなかった。だから、人が育った。

6つ目は、責任者が、人徳があること。人徳がなくして、「人が育つ」わけがない。人を育てるためには、まず、責任者みずからが、人間的に、部下以上に成長する努力をしなければなるまい。部下も、そういう責任者を模倣する。

部下を育てるためには、①仕事を知って、任せること。②熱意があれば、権限を委譲すること。③ものを尋ねること。④当たり前のことを当たり前にやってみせること。⑤感謝すること。⑥責任者自身が成長することだということである。

2023.05.01
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投稿者

江口 克彦

講師 江口 克彦

松下幸之助のもとで23年間、直接指導を受ける。 現在、経営者塾を主宰して、松下幸之助の経営哲学の講義を続けている。札幌の「松翁会」、名古屋の「壷中の会」など全国数ヶ所で行われている。            内閣府 沖縄新世代経営者塾 塾長、憲法円卓会議 座長、内閣府 イノベーション25戦略会議 委員、内閣総理大臣諮問機関経済審議会 特別委員、松下電器産業株式会社 理事等を歴任。

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