【部門横断型の対話】

ここ数年、関わらせていただいている企業様で、ついに画期的な研修がスタートしました。
部門横断型の対話を主体とした研修です。営業部門、生産部門、管理部門などグループ会
社を含めたすべての人をシャッフルし、オンライン上で対話をしていきます。勤務地も階
層もシャッフルされています。つまり、全国にいる新入社員から部門長までが参加すると
いうことです。

例えば、北海道の生産部門の若手社員と東京の経理部の課長と九州の営業部門の支店長が
同じグループになって対話をするといったことが起こります。「はじめまして」の人とも、
オンライン上ではありますが、顔を突き合わせて対話をします。これは画期的なことです。
オンラインだからこそできることです。

対話の内容は、「我が社の理念」について理解を深め合ったり、ビジョン実現のために自
分は何をするのかを共有し合ったりするものです。新入社員や若手社員には、やや難しい
テーマかもしれません。しかし、先輩社員や上長たちが語り合うのを聴くことで湧いてく
るイメージもあるでしょう。何を話すかも大事なのですが、日頃なかなか話すこともない
立場の人と話すこと自体が大事なのです。

いつも自分が売っているものを、こんな想いで作っている人がいるのか!と知ると、商品
に対する見方も当然変わるでしょう。自分の担当業務の前工程、後工程の人の顔が見える
と、自分の仕事に対する姿勢も変わるはずです。若手はこんな気持ちで仕事をしているの
か、管理職はこんなふうに考えてくれているのかと、他部門同士であれば、案外素直に受
けとめ合えることもあるのではないでしょうか。この効果が組織にもたらす影響は非常に
大きいと感じます。

現に、研修の感想として寄せられるコメントには、「自部門では普通と思っていたやり方
が他部門では普通ではないことがわかった」「他部門の人と話せてとても楽しかった」、
「自分もがんばろうと思った」といったものが多く見られます。講師側が教えることより
もはるかに価値ある気づきと動機付けが得られているように思います。この画期的な試み
に取り組まれている企業様の機動力にはただただ敬服します。

ここで機能しているのが対話のルールです。
相手の話は否定しないで聴く。答えは一つではないと心得て、様々な意見を受けとめる。
相手を尊重し、言葉の裏にある真意にまで耳を傾けようとする。まさにコーチングの基本
です。これらの基本さえ守り、対話の環境を作れば、きっと価値ある時間になります。何
を話し、どんな結論を導き出すかよりも、まず「対話をすること」自体に意義があります。
このことに気づいている組織の成長は著しいと感じます。

2022.07.01
いいね! ツイート

投稿者

石川尚子

講師 石川尚子

パーソナルコーチを行う傍ら、「夢をかなえるコミュニケーション」「自発的な部下の育成」等をテーマとしたコーチング研修講師として活躍中。

関連記事

企業や人の育成でお困りの方はお気軽にご相談ください

松下幸之助は、事に当たり「深刻に考えず、真剣に考える」ことが経営では大切であると言っています。
自分でコントロールできないことを手放し、コントロールできることに集中するということではないでしょうか。
しかし、何事も一人で解決するには限界があるといわれています。一緒に解決策・打開策を考えませんか。